前回記事でレンタカーのゴミ問題について触れましたが、ゴミと同じくらい問題になったり利用者さんが迷うのが『給油』です。満タンにして返すのかそのままでも良いのかなどをメリットデメリット含めて解説します。
給油する場面
レンタカーを借りて旅行をする際に給油が必要な場面は大きく2つです。走行距離が多すぎて燃料が足りなくなってしまった場合と返却の際に満タン返しが条件となっている場合です。
最近は燃費の良い車が多くレンタカーで貸し出されている乗用車なんかは普通に走れば満タン状態から600km前後は余裕で走ります。そのため旅先の市内走行程度ではほとんど途中給油が必要な場面には出くわしません。
レンタカーを借りたほぼ全ての人がやらなければならないのが返却前の給油で「満タン返し」というやつです。
出発店舗と返却店舗が違う「乗り捨て」の場合などであっても「満タン返し」がレンタカーの基本となります。旅行代理店さんのパッケージプランの中にはごく稀に「基本料金に燃料費込み(最後の給油不要)」という物がありこういったものは例外となります。
給油時の注意
レンタカートラブルで事故の次に多いといっても過言じゃないのが給油トラブルです。給油はどうしてもお金が絡むことなので問題が起こりやすくなります。
筆者が勤務していた際に肌感として多かったトラブル順に解説していきます。
①給油場所・指定給油場所違反
レンタカー店舗によっては最終給油はここでしてくださいという「指定給油場所」として近隣のガソリンスタンドを指定している場合があります。理由としては次のお客様に貸し出す際も満タンでなければならないのにあまり遠くで給油されると店舗まで走っている間に目盛りが下がってしまう可能性があるからです。
都市部で近隣にたくさんガソリンスタンドがある場合は指定給油場所がない店舗も多く、その時は「近くのガソリンスタンドであればどこでも良い。」と案内されることが多いです。その場合の近くというのはおおよそ走行距離が5〜10km以内くらいが目安です。20kmも離れて近くというのは流石に無理があります。
実際にあったこととしては、返却の際に燃料計が微妙に下がっていたので給油しましたか?とレシートを確認したところ住所が二つも隣の市町村でバイパスで25kmほど離れたガソリンスタンドで給油しており店舗側は「流石に遠すぎる。」と言い、お客側は「25kmは自分は近いしスタンド指定はないはずだ!」で揉めたことがあります。
最終的にはレンタカー店舗側が折れたと記憶していますが以降指定給油場所ではありませんが貸出の際には近場の数店舗を案内しどれかで給油してくださいと案内するようになりました。
②給油量不足
有人型のフルサービス店舗ではほとんど起きないのですが、セルフスタンドが多い地域では給油量不足も時折問題になります。給油ノズルの差し込みがあまかったりすると車種によってはエアー抜きで吹き返してしまいすぐにノズルのセーフティーが作動する場合があります。ノズルのグリップがガチン!といって燃料が止まるアレです。普段から頻繁にセルフスタンドを利用している方なら走行距離から逆算して明らかに足りていないとわかりますが、旅先でレンタカーのみという方は「もう終わったのかな。燃料少なくてラッキー!」と勘違いしてしまいます。
いくら最後に給油したとレシートを見せても給油量が足りない場合は追加で料金が取られます。レンタカーはナンバーや車種以外にも出発前の走行距離と返却時の走行距離も記録していますし車体ごとに平均燃費が登録されているので差し引きして足りない分を請求されてしまいます。
③油種間違い
そこまで多くはありませんが1年に1件は必ずあるのが油種間違いです。
軽自動車に軽油を入れるなんていうのは有名な話ですがそれ以外にもあります(現行の軽自動車に軽油ラインナップはありません)。
レンタカーで多いミスが「三菱:デリカ」「マツダ:クリーンディーゼル系」「トヨタ:ハイエース」「日産:キャラバン」などです。マツダのクリーンディーゼルは「ディーゼル」と自分で言っているので軽油だとわかると思うのですが間違えてレギュラーを入れてくる方が稀にいます。デリカやハイエースなどは厄介なことにガソリンと軽油のどちらもラインナップがあるのに加えレンタカーでも混在しています。
車検証を見ると「ガソリン」「軽油」と書かれているのでわかりますがレンタカーでいちいち車検証を確認する方はいないと思います。そこで対策としてレンタカー各社では燃料計周辺の見える位置に「軽油」とシールを貼ったり、給油口の内蓋にもシールを貼ったりして対策しています。それでも間違えてくる方が一定数います。
私が経験したことではなく風の噂で聞いた例としては、ディーゼル車貸し出しの際に店舗スタッフが「返却時はガソリン満タンでお願いします。」と言った(真偽不明)ため、お客さんが有人型ガソリンスタンドで「ガソリン満タンで。」とそのまま伝え、ガソリンスタンドスタッフがディーゼル(給油口に書いてある)にレギュラーを注ぎ車が壊れたということがあったようです。お客さんとしては「店舗スタッフがガソリンと言ったからそのまま伝えた!スタンドのスタッフも分かってるなら入れるな!俺は悪くない!!」というのが主張だったようです。これも最後はレンタカー会社が責任を被ったそうです。以降その会社では「ガソリン」ではなく「燃料」という言い方に統一されたそうです。
油種間違いはエンジンブローにも繋がる重大なミスなのでレンタカーに給油の際は気をつけましょう。
店舗での精算
実は給油をしなくてもレンタカーは返却できます。厳密には店舗で精算可能です。給油量不足の項目で少しだけ書きましたが店舗で不足分だけを精算できるのです。
「満タン返し」に対して「距離計算」と呼びます。「返却時の距離➖出発時の距離🟰走行距離」をその車種の燃費に当てはめて計算します。そしてその金額を上乗せした料金を返却時に精算するという方法です。ここで疑問となるのが途中で給油している場合は利用できないのではないかということですが、その場合は「残量計算」も可能です(レンタカー会社によってはできない場合もあります)。車体によって給油タンクの容量が決まっているので燃料計がどれくらい残っているかを入力し計算することができます。しかし、あくまでも「距離計算」「残量計算」は最終手段なので原則は満タン返しになります。
また、レンタカー店舗での精算は割高になります。レンタカー店舗は給油取扱所ではないのでタンクや給油設備はありません。そのため店舗で精算した車はスタッフが近隣の店舗まで給油に走るか、携行缶に買い置きしている燃料を注ぐかのどちらかになります。どちらにしろ人件費がかかってしまうのでリッターあたりの計算が近隣店舗よりも10円以上高くなっています。
さらに店舗での精算は時間がかかります。燃料計から計算して差額をその場で支払ってもらわなければいけないので金銭のやり取りが発生してしまい急いでいる時には不向きです。ギリギリまで観光して店舗で精算してもらえればいいやと思って行くと最終給油の有無・途中給油分のレシート確認・精算と意外と時間がかかります。どこかで給油してきた方がすんなりと返却手続きは終わります。
まとめ
レンタカーでトラブルが起きやすい「給油」について解説しました。
観光利用や一般利用の返却時は「満タン返し」が基本となります。「距離計算」などはあくまでも近隣の店舗が閉まっていた際などの緊急手段です。
油種など不安なことがある場合はレンタカー店舗で車両チェックの際に確認しておいた方が良いでしょう。
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