【本末転倒?!】トラックドライバーに転職する50代は本当に戦力になるのか?

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ドライバーの就業時間規制などが厳しくなりこれまでの物流能力を維持できないのではないかと心配されている「物流の2024年問題」ですが面白い記事が出ていました。

トラックドライバーは「第二の人生」に最適か? 部長職からドライバーに転身「収入減ったが楽になった」のホンネ、若手確保が無理なら“逆転の発想”しかない(Merkmal)|dメニューニュース
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記事では「会社員」に疲れた部長が第二の人生としてドライバーへ転職という事例が挙げられています。もちろんやりたくてドライバーになるのであればそれはその方の生き方ですし、会社も定年まで長くは働けないけどそれを良しとして採用しているのでしょうから文句のつけようもありません。

しかし、若手が入らないから中高年の採用に力を入れるというのは現場を知っている身からすると本末転倒ではないかと感じてしまいます。

もちろん全ての運送会社がこのようなことをやっているわけではありませんしごく一部でしょうが、実際私が運送会社に在籍している時も年上の後輩は何人かやってきました。もちろん運送会社間でのより良い会社を探した経験者転職もありましたが新規で運送に来た方もいました。

今回はこの「中高年の運送業界への転職」が抱えるリスクについて解説していきます。

運送は結局力仕事

記事内ではサラッと「手積み手卸のような身体に負担の大きい仕事は論外」とありますが、そんな会社はほとんどないはずです。ダンプやローリーのように手積みが非効率だったり物理的に手積みできない仕事は別ですが、完全に手積み手卸しゼロという会社はほとんどないでしょう。どうやっても肉体労働になってしまうのがドライバーの宿命でそこを解決しないことには人が増えることはないと言えます。

実際私がやっていた仕事もパレット積載からの手卸しでした。大型車(積載10t)に満載の荷物を一人で手卸しすると2時間近くかかる場合もあります。重量約10tを全て手で下ろすので負担は半端ないです。それを1日に数回行うこともあります。そのため私がいた会社の先輩ドライバーはもれなく腰を一度は壊していました。ヘルニアやギックリ腰に加え荷物の持ちすぎによる手首の腱鞘炎などさまざまですがどこかしら故障していました。

ヤマトや佐川などの個人宅配も同様です。ユーザーは自分で運びたくない米やペットボトル飲料もネット注文します。そうするとアパートなどでエレベーター義務のないギリギリの階層まではドライバーが持って上がることになります。

ドライバー職=肉体労働という業務形態自体は現在でも続いており、肉体労働ゼロの会社を探す方が難しいですしそれ以前にそんな会社は人気なのですでに人手は足りています。

配車も周りも気を遣う

近年ではハラスメントに対してものすごくうるさくなっておりドライバーの意見も聞いてくれる会社が増えてきました。そのため配車担当も中高年の人にキツイ仕事を振りづらくなってきています。一昔前では「俺の配車に文句あんのか?新人は黙って働け!」でしたが最近では「やっぱり肉体労働きついですよね〜。なんとか調整するんでこれだけお願いしてもいいですか?」に変わってきています。

これにより被害を被るのは若者です。体力あるし若いんだからという理由で後から入社した年上よりもキツイ仕事だけを回されて不満が溜まってしまいます。現場ではそんな事例をたくさん見てきました。若者の体力も無限ではないので肉体的疲労と精神的イライラが溜まって最後にはやめていきます。

実際私がいた会社も「腰が痛い」という年配には忖度配車で同じような若者には「まあ、無理のない範囲で(時間はかかってもいいけど卸してこい)!」と言っていかせていました。

結局のところ年寄りドライバーが増えれば増えるほどそちらに楽な仕事が回され、本来は大切にしなければならない若者を酷使するという構図になってしまうのです。

果たして戦力になるのか

50代から新規で入ってきた人が会社にとって戦力になるかならないかでいうと一応は「なります」。

2t車などの小型トラックで少しずつ卸したりするルートであれば回せますし、肉体負担の少ないコースを預けることはできるのでそれ以外の人員が捻出でき全く戦力外というわけではないでしょう。

しかし、そのような仕事を持っていない会社であれば楽なだけの仕事を割り当てたり新たに営業してその人専用の配送ルートを開拓する必要があるので会社にも負担がかかります。特に固定ルートで給料が決まっておりキツくても他の人よりも稼げるような会社なら良いですが、シフト配車でみんなで回したり突発仕事が多い会社ではその人だけ優遇されているように他のドライバーには見えてしまい会社としてはいてくれるだけありがたいけどドライバー仲間からは嫌われるという事態になりかねません。

そのため会社によっては戦力にはなるけど他の人の退職を促進させてしまうという事態にもなりかねません。もちろん会社が面接してこの人なら入れてもいいと思い採用しているので本人が気に病む必要はありませんが全体を通して見た時に若者の運送離れを加速させるトリガーになる会社もあるかもしれないという話です。

まとめ

若者が入ってこないから年配の転職を狙おうというのは長い目で見れば自分たちの首を絞めることになりかねません。

ヤマト・佐川をはじめとした個人宅配送や大型トラックを使った食品物流はほとんどの会社で手卸しがあるはずです。

給料や労働時間ももちろんですが「手積み手卸し」という荷主の利益だけを優先した悪しき風習を根本から変えていかなければ運送業界に未来はないでしょう。

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